文化の日を前に、秋の瀬戸内、島並の風景、一流の絵画、作家の人生観、みかん狩り、小京都の歴史と文化、文学作品等に接し、「自己の在り方生き方を考える」機会として、瀬戸田・尾道に行ってきました。
朝9時に岡山を出発。山陽道からしまなみ海道に入り、瀬戸内の美しい景色を見ながら、新尾道大橋、因島大橋、生口橋と渡っていきました。
まず、平山郁夫美術館では、学芸員の中桐さんに、平山郁夫画伯について、説明をしていただきました。平山郁夫氏は、瀬戸田に生まれ、瀬戸内の青い海や緑の島々の織り成す豊かな自然の中で少年期を過ごしたこと、その後、広島で被爆し、その後遺症に苦しめられたこと、やがて「仏教伝来」を初めとする平和を願う作品を多く描くことになったこと、仏教の源流を求めて、シルクロードの取材旅行をしたこと、世界の文化遺産保護活動にも精力的に取り組んでいること、今回は、秋の特別展として、平山郁夫氏の、幻想画を中心に、数々の作品が鑑賞できること、等が紹介されました。
生徒は、引率の河本先生より、気に入った作品を見つけ、その感想を書くという課題が与えられ、熱心に作品鑑賞を行いました。将来美術系の学校へ進学を考えている生徒は、目に留まった作品の前で、じっくりと鑑賞していました。ふだんあまり美術館には行かないという生徒も、これは何を使って描かれているのかと大胆かつ緻密に描かれた絵画を覗き込んでいました。
次は、河野農園でのみかん狩りです。ほとんどの生徒は初めてでした。瀬戸田のみかんといえば、日本屈指のみかんの産地です。生徒は農園の方に、はさみの使い方、どんなみかんがおいしいのか、教えてもらい、食べ放題なので、みかんを枝から切り取っては、食べていきました。中には、数を競って、いくつも頬張る生徒もいました。お土産で持って帰ることもでき、みかんを慎重に選びながら、袋に入れていきました。
そして、瀬戸田から尾道へ移動し、びんご総合運動公園の芝生で昼食をとりました。公園内にあるピカ・デリというレストランから、尾道地産の食材が使われた、特製のランチボックスを運んでもらいました。食後は、公園内の施設で遊んだり、話をしたり、風景を眺めたりして過ごしました。
最後に千光寺公園へ行きました。駐車場から山頂まで登りきると、尾道の町並みや尾道水道が眼下に現れ、その素晴らしく美しい景色に、皆、目を奪われたようでした。生徒は、文学のこみちを散策しながら、石に刻まれた詩や俳句などを書き写していきました。中には、座り込んで、写生を始めたり、自分で俳句を作った生徒もいました。
今日一日を振り返り、生徒からは
「今日はとても楽しかったです。美術館に飾ってある絵はどれも幻想的ですごくきれいだと思いました。みかんもおいしかったし、びんご総合運動公園も芝生ですべるのがめちゃくちゃ楽しかったです。弁当もおいしかったです。千光寺はちょっと疲れましたが、また行きたいと思いました。」
「美術館の絵画は普段見ることのできないものばかりで、見ることができて良かったです。みかん狩りは小さいほうが身が引き締まっておいしく感じました。尾道は坂道が多くたいへんでしたが、木々の間から見える町並みがきれいでした。大きな岩が印象に残っています。そして、多くの文学者の方が訪れた土地ということで、皆が尾道に惹かれる理由というものが少しわかった気がします。」
「今日一日でいろいろな文化と芸術に触れましたが、その中で一番印象的だったものは、平山郁夫さんの『アンコールワットの月』でした。平山さんがテーマにされてた青が多く使われていてとても深い作品だったと思います。」「今まで体験したことのないことや、今まで見たことがないものに触れて、有意義な体験ができ楽しかったです。」
「とてもいい勉強になりました。大分歩いて疲れましたが、楽しかったです。景色もよくて、良い1日になりました。」
「広島にはよく来るけど、違った意味での楽しみ方ができたと思います。美術館には、いろんな絵がそれぞれ異なっていてよかったです。山を登るのはつらかったです。」
「美術館で平山さんの作品を見て『青』がすごくきれいで、ずっと見ていたくなりました。説明で聞いたように、仏教の影響を受けている作品が数多く見られて、不思議な雰囲気に感動しました。」
「僕はまだまだ若いということがわかりました。美術とかけっこう好きなのでなかなか楽しかったです。でも疲れました。」
「今日の授業は芸術の素晴らしさ、いろいろな偉人がいることを知り、どれも自分のためになりました。」
「あまり興味がなかったことも、一度訪れてみたり、体験したりすることで、とても興味が湧き、とても楽しいことがわかりました。本当に楽しかったです。自分の考えを絵や句にすることで表現するととても思いが深くなるなと思いました。」
「静けさに古き知恵しる紅葉の友と歩けし山の細道 童心に返る秋風高き空 蒼き海白く浮かぶ橋々に彼の人の想い現在に返らん」
といった感想が聞かれました。