2015年5月17日、校外学習を行いました。
下電観光バス(大型バス2台)に乗り、生徒、保護者 約70名で、岡山を出発、10時50分には神戸の人と防災未来センターに着きました。
【人と防災未来センター】
1995年1月17日、直下型大地震により、阪神・淡路を中心に、大災害となり、多くの犠牲者(6,434人)、被災者が出ました。
神戸市の「人と防災未来センター」は、この時の経験と教訓を伝え、国内外の災害による被害の軽減のため(発信と研究)、設立されました。
あれから20年
震災の経験と教訓を、知らない世代にも伝えようと、同センターでは、企画展が開かれています。
テーマは
「あらためて振り返る1995.1.17」
「1.17と3.11ふたつの災害の特性を知る」
「20XX.X.X 将来の巨大地震に備える」です。
今回の校外学習では、2011年3月11日に発生した東日本大震災(犠牲者19,074人)の経験、教訓も踏まえ、今後予想される巨大地震(南海トラフ巨大地震など)などに、どう備えるかを学びます。
先月25日、ネパールで大地震が発生し、8000人を超える犠牲者(おそらくはそれ以上)、被災者は800万人を超えているそうです。
私たちは、今、様々な自然災害に直面しています。
今後想定される大地震・大津波などに、どう準備をし、その時、どう行動すればよいのか、どう助け合えるのか、今何ができるのか、想像し、考える機会の1つしようと考え、本校としては4年ぶりに、同センターを訪れました(2015年5月17日)。
はじめに、防災センターの運営ボランティア(語り部)である 稲谷利輝 氏の講話がありました。
そのお話の一部をご紹介します。
「ここは、映像や写真で震災のことをお知らせする、世界中から来られて、研修する施設です。
地震はどうして起きるのか、説明します。
地球を真っ二つに割って、真ん中はマントルといわれていますが、我々は地殻といわれているところにいます。マントルの対流が地震のもとになっています。
サッカーボールの皮は32枚きっちり縫い合わせています。
ところが、地球の地殻は12~13枚に分かれていますが、そのぶつかり合うところがデリケートにできております。
人のつめの伸びる速さでプレートがぶつかっているところがあるのです。
例えば、南海トラフ、こういう所で、地震が発生するのです。
神戸の場合は、直下型地震
岡山県の断層は少ない。
たいへん安定したところに住んでおられます。
阪神大震災の震央(震源の真上)は淡路島の北です。
大きな地震が来ると、最初に少し揺れ(P波)、その後大きな揺れ(S波)が発生します。
地震が起きたとき、私は、15秒くらいの揺れが15分くらいに感じました。
どんなに起き上がろうとしても起き上がれない。
家が押しつぶされていることに気づきました。
妻に逃げろと言いました。
火事になったら焼け死ぬと思いました。
上から押さえているのは何かと思ったら、壁を作っている「竹」でした。
昔は竹で壁が作られていました。
それを壊して自力で脱出しました。
ガスが恐かった。
ガス管の継手、ガスに火がついたら恐いと思いました。
私は、梁や柱のすき間にいて助かりましたが、亡くなった人の多くは、柱や梁につぶされて死にました。
地震に遭っても、必要な段取りを講じておけば、助かります。
私の町内で(若い皆さんに是非お話したいことは)は、家ごとの状況が確認できました。
埋まった人を助けに行こうという声が出ました。
家族を中心に救助ができました。
寝たきりの人は布団ごと引っ張ったりして、6人の人を助け出すことができました。
東北の地震では、一般の人、プロの人が救助で活躍しました。
地震は必ず来ます。
地震は地球の活動の一部です。
日本だけでなく、世界中で地震は起きます。
地震の被害を限りなくゼロに近づけることはできます。
人類の知恵によって
人と人の協力によって
次の世代に語り継ぐことによって
地震が発生した場合は、
被害を最小限にするという意識をもって
みんなで力を合わせて、協力して
いい街づくり、いい国造りを目ざしてください」
講話の後、本当に地震が来たような体験ができる映像体験など、巨大な館内を見学して廻りました。
生徒の感想(一部抜粋)
「阪神淡路大震災があった年は、まだ、小さく記憶もなかったので、テレビや新聞で見かける程度の知識でした。東日本大震災の時は、テレビで流れる津波情報を見て、心配するしかできない状況で、地震に対して時間が薄かったのですが、今回、神戸に来て、20年前のことから得た教訓と恐ろしさを伝えようとしている方のじかのお話を聞けました。最初に入ったシアターは、立体的な変わった形をしていて、連続した地震の映像は、とても迫力がありました。他の資料を見ても、今まで平穏だった生活から一転した様子が、ありありと伝わってきました。『いつ地震が来るか分からないけど、どこにいても来るものは来る』という語り部の方の言葉は強く印象に残りました。非日常について理解することが、日常の大切さを省みることになると気づきました」
「地震の恐ろしさを改めて感じました。今日の経験をもとに、家族で話し合ったり、防災グッズを見直そうと思いました」
「私はまだ震災にあったことがないけれど、今からでも震災が起きたときにちゃんと避難できるように自分なりにできることをやりたいと思いました」
「地震は全てを失う可能性のあるひじょうに怖いものだと思いました。阪神大震災が起きたとき、爆発音のような音と、一瞬にして家や道路が崩れていく光景は衝撃的でした。また、がれきに埋もれた人を助ける優しさに感動しました。僕も生きていて、いつこの大震災のような災害が起こっても不思議ではないので、自分にできる小さな防災から気をつけていきたいと思いました」
「絶対ダメだと思ったらいけないし、絶対大丈夫と思ってもいけないという言葉に共感しました。私はけっこう安全なところで寝ていると思っていたけれど、やっぱり危ないかなって思いました」
「自分は本当の自然災害というものを経験したことがなく、小さな地震程度しかしらない。1.17シアターを見て鳥肌が立った。予想される南海トラフ地震などについて真剣に考えたい」
「地震や自然災害から身を守るというのは、大切だと思いました。減災を少しでもできるように日ごろから家族と話し合って、避難場所を確認したり、家具を固定したり、未来に備えようと思いました。語り部さんのお話もとてもタメになりました。貴重なお話が聞けて良かったです。私たちも後世に受け継いでいかないといけないと思いました」
「今まであまり地震のこといついて知らなかったので、興味深かった。地震や津波がどう起こるかなど、意外と知らなかったので、勉強になった。映像で見たのは初めてで、被害の酷さがより分かりやすく、驚いたと同時に少し怖かった。でも、地震はよく知れば被害を少なくすることもできるそうなので、積極的に調べていくようにしたい。岡山には断層が少ないそうだが、知り合いが神戸に引っ越したのでとても不安です。これからは家族でちゃんと防災や減災について考えるようにしたい」
「これまでの経験からだけで学ぶのではなく、人々の言伝や歴史から物を学び、かつ地震にも広義あるように、私たちも場面に応じて適切な行動をし、1人でも多く助けられるように尽力していきたいと思いました」
「今日は地震がどうやって起き、そして、どうなるかを知ったりして、とても勉強になりました。阪神・淡路大震災が起きてどういう風になるのかの再現映像は、大地震が起きるとこういうことになりかねないんだなと思い、恐くなりました。復興のVTRを見て、あそこまでボロボロになって、よくここまで復興できて凄いと思いました」
「語り部の人の当時の話を聞いたり、迫力のある映像や展示物をたくさん見て、当時の震災の悲惨さを、これからも多くの人に知ってもらわないといけないんだなと思いました。今はとてもきれいな都会な町なので、震災があったとは全然考えられません。人間の復興力はとても強くて日本全体を勇気づけるものだと思いました。
助け合うことの大切さも今日改めて実感しました」
「近頃、南海トラフ地震が来ると予想されていて、防災について学ぶチャンスができ、地震とは縁のない岡山では体験しないようなことを見て、とてもためになりました。地震が起きても減災できるような行動をとっていきたいと思います」
保護者の感想(一部抜粋)
「この20年の間に、日本には、2つの大きな地震災害があり、災害にあわれた人たちの経験は、私には想像もつかないほどです。学んだことは、災害をなくすことはできないが、『減災』は人間の知恵と助け合いでできるということです。自分の中で風化しつつあった災害について、再確認できて、良かったと思います」
「阪神・淡路の震災から、もう20年になるのですね。今回の学習で改めてその時の恐ろしさを痛感し、もし、こんなことが、自分の身に起こったらどうなるのだろうと考えさせられました」
「20年前の1月17日午前5時46分、その時間は朝食の準備をしていました。岡山でもかなりの揺れでした。今日、人と防災未来センターでの体験をとおし、もう一度考えさせられました。自然は恐いです。ある日いきなり起こる現実、その時に何ができるのか、これを機会に、しっかり家族で話し合う時間を持ちたいと思います」
「命の尊さと、助け合い、みんなで支え合って生かされている意味を深く感じました。防災について、まだまだ勉強することがあって、一つずつ学んで行きたいと思いました。『夜寝る前に、必ず枕元に靴を置いてください』と助言されたことが忘れられません」
「防災センターで勉強するだけでは意味がないといつも思います。その後、各自がどれだけ意識を持って日々過ごすかが大切ではないかと。公共の施設では伝えきれない実体験を語り伝え続けてほしいと思います」
「ニュースや新聞などで、震災については、よく知っているつもりでしたが、実際のビルなどの建物倒壊の映像を見て、音を聞いて、恐くなりました。加えて、寒さや臭いなどもすごかったと思うと、地震に遭われた方の、大変さや苦難は相当なものであったと思います。両親や知人を亡くす、それも一瞬のうちに…。今ある幸せを痛感しました。また、減災という言葉を初めて知りました。地震に備えることを再度しようと思います。地域の人々との付き合いも続けようと思います」
「防災未来センターでは大変驚きました。テレビで見るのと、お話を聞き、目で見るのとではあまりにも違いすぎました。他人ごとに思わず、自分に起こったときどうするかを考え、日々生活していきたいと思います」
「震災の恐ろしさ、自然と人との関わりの大切さを身に感じました。また、実際に被災された語り部の方のお話が衝撃的で、20年の時が経っていますが、生々しく、テレビなどの報道とは違う、体験を語ってくださり人と人とのつながりや、助け合いの大切さを改めて教えていただいたように思います。今回、子供と参加させていただいてよい経験になりました」
「震度1、2ぐらいしか感じたことがなく、テレビ等で見るだけで、他人事のように感じていた自分を反省しました。帰りのバスの中で、語り部の人の話を思い出したのか、『近所とのつき合いは大切なんだな』と本人がポツリと言いました。今日の経験が、何らかの形で心に残り考える何かになってくれることを願ってやみません」
「被災者の方のお話や、迫真の映像等、とても心に残り、貴重な経験になりました。地震や災害の危険性は、日ごろどうしても忘れがちなので、今後に生かしていきたいと思います」
「友だちと楽しそうに話をしている姿を見て、安心しました。防災学習では、地震破壊の凄まじさを体験し、
驚きました。いつ起きるか分からない大地震 家族でもっと話をして準備、その時の行動など考えたいと思いました」
「防災センターの人のお話や映像は迫力がありました。映画がとても良かった。肉親が死んで、自分が生き残ったら、生きていくのはしんどいだろうと思います。そこから、人のために何かをする気持ちになるまでには、いろんなことを乗り越えているのだろうと思いました」
約2時間防災センターに滞在しました。
【昼の休憩 神戸ハーバーランド】
昼休憩は、南京町に行く予定でしたが、予想以上の渋滞・混雑で、海のそばのハーバーランドに変更しました。
各自、自由に昼食をとったあと、六甲山に向かいました。
【自然体感展望台 六甲枝垂(しだ)れ】
午後3時20分、六甲山頂の駐車場にバスは到着
バスガイドさんの説明の後、展望台の現地スタッフ(緑のジャケット)の方の施設説明を受けながら、自然体感展望台へ
ここは、2010年、神戸の六(ろっ)甲山(こうさん)に、太陽光、風力、樹氷など、自然の力を利用した展望台で、「山の上に立つ一本の大きな樹」というイメージでデザインされています。
例えば、風室という部屋は、山上に吹く風を循環させ、自然換気をし、夏には、天然氷や風を利用した冷風体験ができます。